ザッと要約「古本屋になろう!」
こんにちは。年間100冊以上の本を読む社会人の筆者です。
今回は、書籍「古本屋になろう!」をザッと要約します。
一般的に、古本屋は「物販業」といわれていますが、実際にはどのような販売方法があるのか、古本屋に向いている人はどんな特徴のある人なのでしょうか。
是非、この記事を参考にしてみてくださいね。
書籍情報
書籍タイトル:古本屋になろう!
著者:澄田 喜広
発売日:2014年08月25日
概要について
古本屋という商売を始めよう! リアル古本屋経営の基礎とは何か、開店の準備、仕入れのノウハウ、棚作りのコツ、値付け方法、専門店か総合店か、どのようにして利益を上げるのか――激戦区で長年店をかまえる著者が、イロハからそろばん勘定までを指南する。
引用元:青弓社
ここから要約!
「古本」の定義とは?
はじめに、「古本」の定義を解説しておきます。
古本とは、「元の所有者から買われ、次の所有者の手に渡るまでの本」のことです。
つまり、古本が”古本”と呼ばれる期間は、なんと限られているのです。
要は、その本が購入者の手に渡ったら、もう「古本」とは呼ぶことはできなくなるのですね。
「古本屋」としての3種類
その上で、古本屋には3つの種類形態があるとされています。
以下では、その種類を解説していきます。
【1】良質な本を扱う「専門店」
まず一つ目の種類は、「専門店」。
ここでいう専門店とは、いわゆる神保町などの古書店街に立ち並ぶ店舗のことです。
特徴としては、「あるジャンルに特化した品揃え」を展開していることが挙げられます。
つまり、「店主の主観」ではなく「客観的な基準」による選定が、本選定の軸となります。
【2】自給自足型の店
次に二つ目の種類は、「自給自足型の店」。
ここでいう自給自足型の店とは、「自店で本を仕入れ、それを自店で販売している古本屋」のことです。
自給自足型の古本屋で売れやすい商品としては、漫画・文庫などの「読み物」や、アダルトなどの「日用品」類などが挙げられます。
【3】新古書店(ブックオフなど)
最後三つ目の種類は、「新古書店」。
ここでいう新古書店とは、”一般書”の専門店のことです。
新古書店としてパッと思い浮かべやすいのは「ブックオフ」が挙げられます。
それらの大型店舗では、新刊書店と見まがうような内装を構えることよって、これまで敬遠しがちだった女性客や若者を取り組むことに成功したなどの例が挙げられます。
古書店を始めるためには「3つの知識技術」があればいい
次は、「古書店を始めるにあたっての重要な知識技術」について。
それらは以下の三つに集約されます。
1.本に関する知識
2.本を扱う技術
3.古本屋の経営
つまり古本屋を開業するにあたって、「文化・知識」に通ずるための「教養の高さ」が重要となります。
これはあらゆる職種問わず共通することかもしれませんが、常にアンテナを立てて好奇心を持ち続けることがポイントですね。
古本市場の特徴(仕入れ)
次は古本屋の「仕入れ」について。
古本市場における仕入れの特徴とは、交換式であるという点が挙げられます。
つまり「各古書店が本を持ち寄り、実際に会場で交換する」という流れが行われているのです。
また、その交換会としての最大の会場は、東京にあります。
それが神田の「東京古書会館」。東京古書会館では、なんと週に5〜6日のペースで古本市場がひらかれています。
なお、一般のお客さん向けの市場開放日もあるようなので、気になる方は是非チェックしてみてください。
古本の仕入れ3種類
次に、古本の仕入れについて。仕入れには大きく分けて三種類のものがあります。
ちなみに、仕入れのポイントは「自店の強みジャンルと一致する本を入手する」ことです。「強みの強化」ということですね。
それでは3種類それぞれを解説していきます。
①店買い
まずはじめに紹介するのは「店買い」です。
店買いとは、お客さんが古本屋に本を持ち込み、買い取るスタイルのことです。
②宅買い
二つ目の仕入れ種類は「宅買い」です。
宅買いとは、古本屋側がお客様のご自宅に伺い、本を回収する(買い取る)方法のことです。
宅買いにおける「メリット」と「デメリット」は、以下の通りとなります。
・思いがけずお宝本に遭遇できる可能性ある。
・事前のアポイントが生じるため、スケジュール管理が柔軟的。
・無店舗であっても対応可能。
・出張コスト・作業車が必要。
③非対面取引
三つ目の仕入れ種類は、「非対面取引」です。
非対面取引とは、宅配業者が本を集荷したうえで、査定をおこない買い取る方法のことです。
非対面取引における「メリット」と「デメリット」は、以下の通りとなります。
・店の傾向にあった本が送られてくるとは限らない。
ここまでの3種類が、古本屋における仕入れ種類です。
なお、そのほかには同業者、セドリ、目録などからの仕入れもあります。
古本屋にとっての重要な考え方
<本の価格>相場感をもつこと
古本屋にとって重要な考え方があります。それは、「書籍の価格相場が判ること」です。
本書では、以下のような知識が必要とされています。
①著者の経歴への理解
②歴史的な位置づけへの理解
(→現代社会への影響力)
このように、古本屋の店主としては「豊富な知識量」を持つことがポイントとなってくるのです。
「一体、その本はどのように価格推移していくのか?」など、大きな視点から見極めることが重要です。その本がもつ空間的・時間的なつながりを把握することがポイントですね。
古本屋の新たなビジネスモデル5つ
次は、古本屋の新たなビジネスモデルです。
古本屋にはいくつかのビジネスモデルが存在していますが、以下ではその具体例をいくつか紹介していきます。
1 セレクトショップ型
1つ目のビジネスモデルは「セレクトショップ型」古書店。
これは「個性派古書店」ともいわれています。
その特徴は、「個性的でユニークな本」を取り扱っているという点が挙げられます。
具体的なポイントは、以下の通り。
1つ目のポイントは、”提案型”の書店であること。
つまり、店自体を劇的空間として演出する必要があるのです。
また、そのためにはいかに本を魅力的に並べられるかが重要となります。「引き算の棚作り」を心がけましょう。
なお、本をより多く並べるだけの「量産型陳列」ではなく、「何をおかないか」という視点が重要です。
「ジャンルごとに、1冊の本をピックアップして魅せる」など、”魅せ方”の些細な差が、「個性的な空間」創り出してゆくのです。
2つ目のポイントは、ファンを作ること。
どんなビジネスにおいてもファンの存在は重要ですが、それは古本屋も同じです。
「本の値段は高いけどなぁ、この店で買ってやろう!」
というファン(顧客)を増やすことが、成功の秘訣。
また、そのためには店主の高いセンスと、情報網への感度を高く保つ努力が必要とされます。
本能的に本が好きで、知的好奇心の高い人がセレクトショップ型で成功しやすいのかもしれませんね。
他にも、『クリエイター的な才能がある』『強烈な個性がある』などの特徴があると良いでしょう。
2 自給自足型
2つ目のビジネスモデルは「自給自足型」古書店。
自給自足型とは、古本屋側が買い取りをおこない、その買い取り本を自店で販売する形態のことです。
1960年代〜2000年代頃までの、主流形態となっていました。
また、自給自足型の古本屋では、自分の店での販売以外にも「スーパーやデパートなどでの即売会」や「ネットでの通信販売」があります。
そのため店頭以外での売り上げも拡大しやすいという傾向にもあります。
3.発見型総合古書店
3つ目のビジネスモデルは「発見型総合古書店」古本屋。
発見型総合古書店とは、「掘り出し物を見つける場」のことです。
そのため、ベストセラー本などは置かれない傾向にありますが、「専門的で貴重な書籍」を多く販売しています。
例:『絶版本、パンフレット』など
つまり発見型総合古書店では、あらかじめ決まったものを「探す」のではなく、何かを「発見」してもらうようにうながすことがポイントなのです。
「お宝を発見できるかも!」
と、お客様は古本屋に期待感を求めてやってくるのです。
1つ目のポイントは、価格設定を低くすること。
実は、発見型総合古書店の商品は、ほとんどが「買い回り品」の分類です。
そのため、金額設定も相場よりすこし安めに設定される必要性があります。
4.専門店
4つ目のビジネスモデルは、「専門店」型の古書店。
専門店とは、狭い分野の本を掘り下げて集める古本屋のこと。より狭く深く販売する形態の本屋をいいます。
一般的に、「一部のジャンル本だけを、特化的に販売する古本屋」と思われがちかもしれませんが、ここで注意しておきたいのが「専門書」のみを扱うわけではないという点です。
「専門的な傾向を扱う傾向にある」というのが、正しい解釈となるでしょう。
また、本の選定基準としては「店主による主観ではなく、客観的な基準が存在している」という事実が挙げられます。
そのように、専門店の場合、店主のセンスも大事ですが、「アカデミズム」や「伝統」など、もともと社会にあるという基準で本が選ばれやすいです。
その上で専門店のポイントとしては、競合業者が少ないところを選ぶという点。
「競合業者が少ない分野を選ぶようにして、コアの部分は自分だけの専門であるよう狙い定める」
これが、専門店の差別化ポイントであるといえます。
5.新古書店
最後に紹介するビジネスモデルは「新古書店」。
新古書店とは、「ブックオフ」や「高原書店」などの、一般的な大型古書店のことです。
かつてこの形態は、「大量出版時代における売り場の常識」を変えたとされています
その要因としては、以下の点が挙げられます。
1点目の要因は、売り場面積が広いこと。
新古書店は、これまでに紹介してきた「狭い店内」で店主が座って店番をするというような店舗形態に比べると、ガラッと異なり売り場の面積がかなり広大となっています。
特に、郊外の大型店舗などは、「新品の本屋」のように売り場面積が広大であることが感じられるでしょう。
2点目の要点は、一般書の専門店であること。
つまり、一般層を対象にした古本屋のことです。
そのため、ベストセラー本などの主流本も多く販売される傾向にあります。人気な本の取り扱いが多いのですね。
これからの古書店として
それでは最後に、これからの古書店の理想像を4点取り上げておきます。
古本屋では、これから以下のような観点が大切となってくるでしょう。
- 幅広い本を収集できる
- 価格競争から脱出する
- ”棚作り”におもしろみを持たせられる
- 相場感覚を持てる
以上、これらを参考に、ぜひ魅力的な本屋作りをしてみてくださいね。
【まとめ】
いかがでしたか?
今回の記事では、書籍「古本屋になろう!」(澄田 喜広著)を解説しました。
古本屋には、たくさんの種類があることが分かりましたね。
「古本屋の仕事」とは、「その本を本当に必要としている方のもとへと、適切な価格で再配分をするというもの。
ぜひ、古本屋を巡る際には、その魅力にも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
さいごに、このブログでは本にまつわる様々な記事を紹介しています。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
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